2012年3月28日~4月1日@新宿 SPACE 雑遊
【作】スエヒロケイスケ
【演出】寺十吾
【出演】
亜矢乃/伊藤麻実子(A.L.C. Atlantis)/川辺純子(T1project)/とみやまあゆみ/仁後亜由美/野々山貴之(劇団俳優座)/福原冠(プリッシマ)/若松絵里
寺十吾/宇鉄菊三/日暮玩具/松原正隆/鈴木雄一郎/岡野正一/中野麻衣/佐藤健/大高洋子
【スタッフ】
照明 北澤由佳(フリーウェイ)
音響 岩野直人(ステージオフィス)
舞台監督 佐藤健
舞台美術 ツマヅキノ石
美術協力 小林奈月
宣伝写真 久家靖秀
宣伝美術 飯塚文子
演出助手 岡野正一 松本ゆい
ストレンジャー彼女は
「CoRich舞台芸術まつり!2012春」
最終選考の10団体に選出された作品です。
とあるワンルームマンションの一室で、部屋主の男性(35)と、その異母兄妹である女性(19)の遺体が、そしてダンボールの中からえい児の遺体2体と、身長120㎝の男児の遺体の、計5遺体が発見された。
その部屋で同居していたはずのオニヅカクマコ(54)は失踪したまま行方はわからなくなっていた。 そしてそのマンション近隣の住宅街一区画で、何らかの病が伝染したかのように、凶悪な殺人犯罪が次々に起こり、人々からうち捨てられた。
その場所にオニヅカクマコは戻ってきた。中断したままの、再開発建築現場のエレベーターに住み着いたクマコは、そこであるパワーを授かった。そのエレベーターは地底と天上に繋がっていて、そこに住む「亡き者」とコミュニケーションをとることができるという。死んだ5人の子供達の霊と暮らし始めたクマコは、そこで降霊会を行う。
ある日そこに、ロミエという腐女子が継母のハズキを連れてやってきた。
ロミエは死に囚われていた。いや、殺人の妄想を抱いていた。人を殺してみたいという欲望に囚われていた。ロミエには命の重みやら人の尊厳やらがなんだかよくわからなくなっていた。その上、生ものとしての、肉体の弱さや儚さ、脆さ、繊細さ、に魅了されていた。
それを知ったハズキは、このままではロミエが、神戸の14歳、酒鬼薔薇聖斗くんのようになってしまうかもしれないと心配し、噂を聞きつけクマコのところに連れてきたのだった。
クマコの降霊会によって、殺した人、殺された人の死霊生き霊に会わせてもらい、彼らからの声を直に聴かせて、そういった犯罪行為の残酷さを知らせてもらおうと思ったのだ。
しかし、そういったハズキの目論見とはまったく別の方向に、降霊会は誘われていくのだった。
家族だろうが、夫婦だろうが、同級生だろうが、教え子だろうが、他人だろうが、「殺人」という「コミュニケーション」によって、加害者被害者、お互いがなにを交流させるのか。
人の手により人の命を奪う、奪われる、ということを、命の重みをあえて軽視して考える、これはディスカッション劇である。