公演情報

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カゲロウの黒犬~北赤羽サイボーグ事件~

2011年2月23日~3月2日@下北沢 ザ・スズナリ

【作】スエヒロケイスケ
【演出】寺十吾
【プロデューサー】綿貫凜

【出演】
森下能幸/永野昌也/オレノグラフィティ(劇団鹿殺し)/吉田麻起子(双数姉妹)/柿丸美智恵(劇団毛皮族)/高田恵篤
釈八子/松原正隆/日暮玩具

【スタッフ】
プロデューサー 綿貫凜(オフィスコットーネ)      
美術      田中敏恵
照明      Jimmy(フリーウェイ)
音響      岩野直人(ステージオフィス)
舞台監督    村田明(クロスオーバー)
特殊小道具   田村雄介
演出助手    岡野正一
宣伝美術    西山昭彦 

あらすじ

「祖母はサイボーグ」

わたしの父方の祖母は来年100歳。
5年ほど前より完全介護の施設に入っている。認知症がはじまってから。
そして5年間に、何度も小さな病をこじらせては肺炎などになり、
その都度医者に「今夜が山だ」「今度ばかりはきっと。覚悟を」などと言われ、身内はその都度祖母の死の受け入れ体勢に入った。
ところが何度も峠を乗り越えて、乗り越える度に祖母の躰は逆に元気で頑丈になっていった。
そしてそれに反比例するように認知症はひどくなった。
というより、脳を完全に初期化したようになり、古い記憶を捨て、
今現在の記憶だけで現実を再構築した別人格の祖母となり、日常生活も変化した。
寝たきりだったのが、峠を越えたよく朝にはひとりで車椅子を転がすようになった。
まるで死に向かっていた躰の細胞から脱皮して、古い記憶を脱ぎ、
残りの身軽になった細胞が生きる方向に走り出したかのような。
身内は悪い言い方をすれば、祖母の死を諦めた。まだまだ生きる、先は長そうだと。
生きるといっても祖母としてではなく、以前は祖母であった誰かとして。

わたしは疑っている。これはただの自然現象ではないと。
きっと祖母の縮んだ脳と頭蓋骨の隙間に、生命から老化という「死」を、根本的に除去するなんらかの機械を埋め込まれたのだと。
そう、祖母は改造されたのだ。祖母はサイボーグだ。
これからも躰は生死を超越した次元へとたどり、祖母に関わる人々を異次元へ誘うよう、何者かによって改造されたに違いない…。

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